酸素魚雷
ウィキペディア
6.9 Wikipedia 「酸素魚雷」
ネット全盛の現代では、関連する言葉を検索するだけで、簡単に検索対象にまでたどりつ
くことができる。特にウィキペディアでは、根拠となる資料が添付されており、それなりの精度
確保に努めているようである。
しかし、工学的な素養のないマニアが思い込みのままに書いていたり、参照している資料の
中身が技術的に問題があるなど、無条件で鵜呑みにすることは危険である。
「酸素魚雷」の原動機については、以下のように記述している。
最終更新:2020/2/10 7:07 版
>酸素魚雷はまた、従来の空気魚雷との相違点として、湿式機関に必要だった真水タンクを
>搭載していない。従来の魚雷は加水燃焼ガスを使う湿式機関を採用していた。
>この湿式機関は、燃焼ガスに魚雷内のタンクに積んだ真水を噴霧し、石油燃料の拡散率
>の向上と水蒸気爆発を利用、エンジンの燃焼効率と馬力を大きく向上させるシステムであっ
>た[4]。
>しかし九三式魚雷では高純度酸素と石油燃料(灯油)の高圧混合ガスを燃焼する方式
>をとったため、出力馬力が非常に強力になったとともに、燃焼用の真水タンクは不要となった。
>九三式魚雷からは機関室区画に海水が入る構造となり、内蔵の小型ポンプで海水を循環
>させ、エンジンの冷却を補助していた。
>
>[4] 同じ原理に基づき、同時代の航空用レシプロエンジンで水メタノール噴射として多く
> 使われている
上記の解説については、工学的に見て首をかしげたくなる部分が多数あるが、代表的なも
のは以下の6点である。
疑問1:燃焼ガスに真水を噴霧すると、なぜ石油燃料の拡散率が向上するのであろうか?
そもそも石油の燃焼で発生する燃焼ガスには、石油燃料など含まれていない。
疑問2:石油燃料の拡散率の定義が不明?
疑問3:水蒸気爆発というと、火山の爆発が有名であるが、密閉容器に入った水が外部
から加熱されて高圧の水蒸気に変わり、水蒸気の圧力で密閉容器が破壊され
る現象である。この現象を利用した機械と言えば、古代ギリシャ人が発明したと
言われる水蒸気式大砲以外、聞いたことがない。
疑問4:水メタノール噴射は、メタノールが蒸発する際の気化熱によってガソリンエンジンの
吸入空気温度を下げるものである。温度が下がれば、空気密度が増加するので、
結果的に吸入空気量=混合気量も増加し、エンジン出力アップとなる。
また、吸入空気温度が下がることで、エンジンのノッキングを防止することができる。
一方、高温高圧の燃焼ガスに真水を噴霧すれば、その分燃焼ガスの温度と圧
力が下がるため、逆にガスの物理エネルギーがパワーダウンすることになる。
疑問5:「酸素魚雷は高純度酸素と灯油の高圧混合ガスを燃焼する方式・・・」となってい
るが、この方式は一種のブレイトン機関であり、蒸気機関やガソリン機関に比べて
最大燃焼圧が絶望的に低い。本当にカタログスペックの最高速が出せるのだろうか
疑問 6:「九三式魚雷からは機関室区画に海水が入る構造・・・」となっているが、本当にそ
のような構造であれば、発射後、徐々に魚雷後部の機関室区画は海水で満たさ
れて重くなり、魚雷の直進性に悪影響を及ぼす。
「機関室区画に海水が入る構造」ではなく、「真水の代わりに海水を機関室に送
る構造」でなければ、文章として意味が通らないのだが・・・?。
以上のような疑問から考えると、天下のウィキペディアも眉にツバを付けて読んだ方が良さそう
である。
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