酸素魚雷
幻の秘密兵器_2
6.3 「幻の秘密兵器」 近代戦史研究会著 廣済堂出版 初版:1994年12月20日
著者:近代戦史研究会
発行:廣済堂出版
初版:平成06(1994)年 12月20日
酸素魚雷については、「世界をうならせた日本の酸素魚雷」というタイトルで約2ページに
わたって解説している。
>酸素魚雷は航跡を残さなく、速度と航続距離を出すことができる優れた兵器だった。
>しかし、魚雷に使われる液体酸素は、油などに触れると爆発する危険があり、各国で
>は開発をあきらめていた。
>
中略
>
>事実、酸素魚雷は真珠湾攻撃でも使用され、アメリカに最初の一撃を加えたのだった。
疑問 3.1:単に「酸素」と書けば、気体としての酸素であるが、わざわざ、「液体酸素」と書
いている以上、液体燃料ロケットの酸化剤として使われる、あの液体酸素を念
頭に置いたものであろう。確かに同時代のナチス・ドイツでは、液体燃料式の
弾道ミサイルを実戦運用していたが、狭い潜水艦の中で液体酸素の貯蔵・
運用が当時の日本にできたのだろうか?
疑問 3.2:液体酸素の沸点は、-183℃であり、常温下でタンクに入れておけば、どんどん
気化していく。当然、タンクの内圧も急上昇するので、放っておけば、タンクが
爆発してしまう。爆発を防ぐには、安全弁を設けて酸素ガスを逃がし、内圧を
下げるしかないが、これでは、いざ発射という時、酸素がない、ということになりか
ねない。
疑問 3.3:サターン5型ロケットの打ち上げに見られるにように、超低温の液体酸素タンク
の表面には大気中の水分が氷結して薄い氷に覆われる。もし、魚雷が発射
管内で氷結すれば、発射不能となってしまう。
疑問 3.4:真珠湾作戦で、九七式艦上攻撃機が使用した魚雷は、「九一式魚雷改二」
であり、酸素魚雷の一世代前の空気と灯油を燃焼させて水蒸気を発生させる
タイプである。航空魚雷は、攻撃機が視認距離から艦船を雷撃するため、酸素
魚雷のような長航走距離の魚雷は不要であり、取扱い容易な蒸気式が使用さ
れてた。
なお、本書では他にも
>航空機の特性として、旋回性能を出すためには翼を小さく、スピードを出すためには翼を大
>きくする必要があったのだ。これを翼面荷重というのだが、戦闘機にとって、旋回性とスピード
>の両立は避けては通れないものだった。(P138)
>第二次大戦を通じて、日本海軍は<零戦><一式陸上攻撃機><酸素爆弾>など、
>世界を驚かせるような兵器を作りだした。(P154)
といった誤った記述(赤字部分)があり、資料的な価値は、あまり高いとは言えないようだ。
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