酸素魚雷
海軍小型潜水艇全史
6.8 「日本海軍 小型潜水艇全史」
著者:勝目純也
歴史群像 No.157 2019 10月号 (学研)
本書で取り上げられている特攻兵器「回天」一型は、九三式魚雷(酸素魚雷)の動力
部分に弾頭と操縦装置を組み込んだ艦体部分を取り付けたものである。その動力部分に
ついては、以下のように記述されている。
>動力としては、魚雷の動力が用いられているため、通常の内燃機関の
>ような爆発・燃焼エネルギーを用いたものではない。
>燃焼室に純酸素とケロシンを噴射し、その化学反応によって生じる燃
>焼ガスに海水を噴射することで、大量の水蒸気を発生させ、その水蒸
>気と二酸化炭素でピストンを作動させる。
>気筒内爆発や点火の失敗による冷走(※7)が起きては、搭乗員、
>整備員を悩ませた。
>
>※7
>純酸素とケロシン、海水によって生じるべき高温・高圧の蒸気が何らか
>の理由で発生せず、空気圧のみで動いている状態。速力が極端に低
>下したり、母潜水艦から発進できなくなる。
本書の要旨は、帝国海軍が開発した小型潜水艇の解説なので、酸素魚雷駆動部分の
解説は本来余計なはずである。実際、原動機の構造図等については一切記載されてい
ないが、この文章を読めば、結果的に蒸気で蒸気機関を作動させていることが理解できる。
さらに、魚雷の原動機について考える時、重要な知見となる『冷走問題』についても記載さ
れており、技術解説の正確性は極めて高い、と考えてよい。
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