酸素魚雷
海軍水雷戦隊
6.5 コンバットAtoZシリーズ4 「図解 海軍水雷戦隊」 吉村雅弘[画]林譲治[文]
著者:吉村昌宏[画],林譲治[文]
発行:並木書房
初版:1996年 10月10日
「第2章 駆逐艦とは何か?」の中で、64ページから74ページと約10ページに渡って魚雷
のについて解説している。
「魚雷の原理」(65ページ)については、
>魚雷は熱機関で駆動するが、その構造は通常のエンジンとはかなり異なる。
>その理由は最初の魚雷が圧搾空気をシリンダ―に導き、スクリューを動かしていたためだ。
>空気の膨張は冷却効果をまねき、機関効率は低下する。
>そこでシリンダーを加熱する方法がとられた。
>ただ燃料の完全燃焼は金属部品を溶かすため、真水で適当な温度に冷却するようにな
>った。
>この燃焼ガスで機関を駆動するオープンサイクルが魚雷の機関なのだ。
となっている。
これによれば、魚雷の基本原理は、
・ 燃焼ガスで(機関の)シリンダーを加熱する。
・ 真水で適当な温度となるように冷却した燃焼ガスで機関を駆動する。
ということになるわけだが・・・・・。
疑問 5.1:燃焼ガスは、周囲の空気と比べて温度、圧力が高い、という特徴がある。つま
り、その分だけエネルギーを持っているのである。わざわざ冷却することは、それ
だけエネルギーを無駄にすることになるのだが・・・・?
疑問 5.2:シリンダとピストンのような機械的駆動部分の冷却は、シリンダを直接外気に
当てて冷却する空冷式、シリンダを二重構造にして冷却液で冷却する液冷
式が基本である。 ヴェルナー・フォン・ブラウンらが開発した弾道ミサイルV-2
は、冷却の補助手段として燃料のアルコールに水を加えて燃焼温度をコント
ロールしているが、燃焼室の冷却は、二重壁の間に液体酸素を流す一種の
液冷式である。高温高圧の燃焼ガスに水を噴射して冷却することは合理的
なのだろうか?
疑問 5.3:塗料などのスプレー缶を長時間連続して噴射すると、徐々に噴射力が低下
し、缶自体が冷たくなってくる。圧縮されていたガスが急速に膨張すると周囲
の熱を奪う、いわゆる断熱膨張である。この場合、噴射力を回復させる一番
簡単な方法は、スプレー缶をお湯に漬けるなど、缶を温めることである。
本書でいう「シリンダーを加熱する」とは、スプレー缶から噴射されるガスを温め
ことであり、あまり良い方法とは思えない。
要するに、本書の場合、世代別の魚雷の作動原理を適当に端折って使って
いるため、「部分正確、全体不正確」な説明となっている。
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