酸素魚雷

ガソリン機関









  
   1.3  ガソリンエンジン

 蒸気機関には、蒸気を供給するためのボイラが必要であり、さらに、高温高圧の蒸気がボイ
 ラからパイプを通って蒸気機関に供給される間に熱が逃げていく。
 このため、蒸気を作るのに使ったエネルギーと実際に蒸気機関が作り出すエネルギーの比率
 いわゆる、「熱効率」が悪い。

 そこで、熱効率アップの手段として、シリンダ内で高温高圧ガスを発生させ、その圧力を軸の
 回転エネルギーに変換するエンジンが発明された。

 ここでは、代表的な実用内燃機関であるガソリンエンジンについて解説する。

 

 ・ 気化器:吸入空気量に応じてガソリンを噴霧し、ガソリンと空気の混合ガスを作る。
         一般的には、『キャブレータ』と呼ばれる
         なお、ガソリンは吸入空気の流れによって細孔から吸い出される仕組み
         になっており、噴射している訳ではない。

 ・ 吸気弁:弁ばねの力で通常閉じられており、吸気カムに押された時に開く。
 
 ・ 排気弁:弁ばねの力で通常閉じられており、排気カムに押された時に開く。

 ・ 点火プラグ:高電圧の火花放電により、混合ガスに着火する。

 ・ 吸気カム:カム1回転で1回吸気カムを開ける。

 ・ 排気カム:カム1回転で1回排気カムを開ける。

 ・ 駆動傘歯車:クランクシャフト上に設置され、クランクシャフトと一緒に回転する。

 ・ 従動傘歯車:4サイクルエンジンは、クランクシャフト2回転で一連の行程を終了するが、
           吸気カム、排気カムは1回転で1回バルブを開く。
           そこで、傘歯車の回転比を2:1に設定して、クランクシャフト2回転で
           吸気・排気バルブが一回だけ動くよう回転数を変換する。

 ・ 伝達傘歯車・伝達シャフト:クランクシャフトとカムの間で回転を伝達する。

 ・ 始動モータ:ガソリンエンジンを始動するには、外部からクランクシャフトを回転させて、強
          制的に、吸入行程 → 圧縮行程 → 膨張行程 → 排気行程 を行わせる
          必要がある。さまざまな形式があるが、本稿の例では電動モータとした。

 ・ クラッチ:始動モータによってエンジンが点火作動すると、今度は、エンジンの出力の一部
        が始動モータを回転させるのに使われることになる。そこで、始動モータが余計な
        出力ロスにならないようにするため、始動モータはエンジンのクランクシャフトを回
        転させることができるが、クランクシャフト自身は始動モータを回転させないように
        するための機構である。

 ・ 水ジャケット:シリンダ内でガソリンを燃焼させて高温高圧ガスを発生させるので、必然的
            にシリンダも高温となる。そのままだとピストンとシリンダ内壁が溶けてくっ付
            いてしまうので、水を循環させてシリンダを冷却する。
            熱くなった水は放熱器(ラジエータ)等によって冷やされるが、ここでは割
            愛する。

   1) 吸気行程
  

  クランクシャフトの回転により、ピストンが下側に移動し、シリンダ内の気圧が低くなる。
  同時に駆動傘歯車の回転が伝達傘歯車と伝達シャフトによって従動傘歯車に伝わり、
  吸気カムが吸気バルブを開ける。
  外気が気化器を通じてシリンダ内に吸入する過程でガソリンが噴霧され、シリンダ内に
   ガソリンと空気の混合ガスが流れ込む。

   2) 圧縮行程
  

  クランクシャフトの回転によって吸気カムも回転し、吸気バルブは弁ばねの力によって閉じら
  れる。
  一方、ピストンは、下降から上昇に転じるので、シリンダ内の容積はピストンの上昇によって
  減少する。この結果、シリンダ内の圧力も上昇する。(断熱圧縮)


   3) 膨張行程
 

  ピストンが最上昇位置に達した時点で、点火プラグに高電圧が流れ、電極間に放電が
  発生する。この放電を発火源として、ガソリンと空気の混合ガスに引火する。
  混合ガスは爆発的に燃焼して、高温高圧ガスが発生し、その圧力でピストンが急激に押
  し下げられる。

  実際には、バッテリ電圧を高電圧に変換する昇圧回路、適切なタイミングで点火プラグに
  放電する装置(点火カム)が付属しているが、説明が長くなるので、割愛する。


   4) 排気行程
 

  クランクシャフトは、膨張行程で発生した回転力を得るが、その後は惰性で回転する。
  クランクシャフトの回転により、ピストンが上側に移動し、シリンダ内の気圧が高くなる。
  同時に駆動傘歯車の回転が伝達傘歯車と伝達シャフトによって従動傘歯車に伝わり、
  今度は排気カムが排気バルブを開ける。
  高温高圧ガスは、排気ガスとして排気口から外部へ排出される。

  以上のように、クランクシャフト2回転する間に、吸入行程 → 圧縮行程 → 膨張行程 →
 排気行程 の4行程が行われることで、エンジンの回転が維持される。

  ※ 従動傘歯車は、吸気カム、排気カムが一体になったカムシャフトを回転させるので、吸
    気カム、排気カムとも常時回転している。ただし、吸気バルブ、排気バルブの開閉タイミ
    ングは異なるので、カムの突き出し位置(いわゆる位相)は異なっている。




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